この記事では従業員を解雇する場合に留意する点について解説しています。
目次
解雇する場合の要件
社員を解雇をする場合には
- 解雇理由が客観的に合理的理由であること
- 解雇が社会通念上相当であること
の2つの要件があることが条件です。
判例では
使用者の解雇権の行使もそれが客観的に合理的な理由をかき、社会通念上相当として是認することができない場合は、権利の濫用として無効になる。
(S50.4.25 日本食塩製造事件)
としています。
この「解雇権濫用法理」という考え方は、いままでの多数の判例により確立されています。
では解雇の2つの要件、「客観的に合理的な理由」と、「社会通念上相当」とはどのようなことなのでしょうか?
客観的に合理的な理由とは
合理的な理由とは
まず解雇の合理的な理由とは、
- 労働者の傷病等による労務提供の不能
- 能力不足や適格性の欠如
- 欠勤、勤務態度不良等の職務懈怠
- 経歴詐称
- 業務命令違反、不正行為等、職務規律違反
- 整理解雇
- ユニオン・ショップ協定に基づく解雇
(土田道夫 「労働法概説Ⅰ 雇用関係法」)
などといったものです。
では客観的とはどういうものでしょう?
勤務不良・成績不良を例にすると、同じ状況に他の従業員が置かれたとして、
他の従業員であってもその勤務不良・成績不良は解消されないのであればそれは客観的な理由とは言えないでしょう。
また他に勤務不良・成績不良の従業員がいたとして、
その従業員を放置してそのような解雇処分をするのであれば、それは客観的とは言えないでしょう。
社会通念上相当とは
勤務不良・成績不良である従業員を解雇しようとしても、ただちに解雇することはできません。
なぜ勤怠不良・成績不良なのかといったことを原因を突き止め、
本人に合った、配置・注意・指導・研修を十分に行わなければ、解雇理由が社会通念上相当とは認められません。
(三協工場事件 東京地裁 S43.8.10)
解雇に関する規制
解雇には労働者に多大な影響を及ぼすことから、
解雇制限期間…業務上傷病により休業している期間とその後30日間、産前産後休業期間とその後30日は解雇禁止
解雇予告…解雇する場合には30日前に予告するか、30日分の解雇予告手当を支払わなければならない。
など様々な規制があります。
解雇制限の図解↓
- 務上負傷または疾患で休業場合
- 産前産後休業の場合
まとめ
解雇の要件を参考文献や判例をもとに解説しましたが、
解雇が妥当かどうかは個々の事情によります。
解雇をする場合は、諭旨退職など検討した上で行うことが大切だといえるでしょう。
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【編集後記】
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ルイビィトンとシュプリームがコラボするみたいです。値段めっちゃ高くなりそう。