まず用語の定義ですが、
「譲渡」とは、売買のほか、交換、競売、収用、代物弁済、財産分与、現物出資などが含まれています。つまり、有償無償を問わず所有権その他の財産権を移転するいっさいの行為のことをいいます。
「個人資産の譲渡による値上がり益に対する所得」の種類は、棚卸資産等の譲渡による事業所得又は雑所得、山林の伐採又は譲渡による山林所得のほか、譲渡所得というものがあります。
このうち「譲渡所得」の対象となる資産は、事業所得、雑所得として課税されるものを除いた
土地や建物などの不動産、減価償却資産、有価証券、借家権等の権利があります。
そして土地、建物等(土地上に存する権利、建物、附属設備、構築物)の譲渡による所得は、動産などの譲渡の場合の総合課税方式と異なり、
租税特別措置法により、他の所得とは分離した税率で課税されることになります(分離課税)。
土地等、建物等を譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超えている場合は長期譲渡所得、
5年以下は短期譲渡所得となり、以下のように課税方法や税率が異なります。
長期譲渡所得
(譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年超の土地等、建物等)
(1) 所得税
譲渡税長期譲渡所得金額×15%
(2) 住民税
譲渡税長期譲渡所得金額×5%
短期譲渡所得
(譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下の土地等、建物等)
(1) 所得税
譲渡税短期譲渡所得金額×30%
(2) 住民税
譲渡税短期譲渡所得金額×9%
※2013年から2037年までは、すべての申告所得に対する所得税額に復興特別所得税2.1%を乗じた額が加算されます。
また、利用状況等(居住用、特定事業用、収用等など)により、特別控除、軽減税率や買換えの特例が適用できます。
なお、2004年以後の一般の譲渡において土地、建物等の譲渡損失が生じた場合、その損失の金額については、土地、建物等の譲渡による所得以外の所得との損益通算はできなくなりました。
また、翌年以降の損失の繰越しもできません。他の所得との損益通算や損失の繰越しができるのは、
・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
・特定の居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
の場合だけとなります。